はじめに
こんにちは。あかね台内科循環器クリニック院長の朝比奈です。
仕事や家庭のストレスが続いたとき、
「胸が締め付けられる感じがした」
「夜中や明け方に胸が苦しくなった」
「病院で検査したが異常がないと言われた」
という経験はありませんか?
こうした症状は、単なるストレスや気のせいではなく、「冠攣縮性狭心症」という心臓の病気が隠れていることがあります。
今回は、日本人に比較的多いとされる冠攣縮性狭心症についてお話しします。
狭心症とはどのような病気?
心臓は冠動脈という血管から酸素や栄養を受け取っています。
この冠動脈の血流が不足すると、
● 胸の痛み
● 胸の圧迫感
● 胸が締め付けられる感じ
などの症状が現れます。
一般的な狭心症は、動脈硬化によって血管が狭くなることで起こります。
一方、冠攣縮性狭心症は少し仕組みが異なります。
冠攣縮性狭心症とは?
冠攣縮性狭心症は、
冠動脈が一時的に強く収縮(けいれん)することで血流が低下する病気
です。
血管そのものは大きく狭くなっていなくても、急激に血管が縮むことで心筋への血流が不足し、胸痛が生じます。
発作がおさまると症状も消えるため、
「その時だけ苦しかった」
「検査時には異常がなかった」
ということも少なくありません。
ストレスとどのような関係があるの?
冠攣縮性狭心症の発作は、
● 精神的ストレス
● 強い疲労
● 睡眠不足
● 喫煙
● 飲酒
などをきっかけに起こることがあります。
ストレスを受けると自律神経のバランスが乱れ、血管が過剰に収縮しやすくなると考えられています。
そのため、
「仕事が忙しい時期だけ症状が出る」
「大きなトラブルがあった後に発作が起きた」
という患者さんもいらっしゃいます。
冠攣縮性狭心症でよくみられる症状
代表的な症状は次のようなものです。
● 胸が締め付けられる
● 胸が押されるように痛む
● 胸が苦しい
● 背中や肩に違和感がある
● あごや首に痛みが広がる
● 動悸を伴う
特徴的なのは、
夜間や早朝の安静時に起こりやすい
という点です。
運動中よりも、
● 寝ている時
● 明け方
● リラックスしている時
に発作が出ることがあります。強いストレス(交感神経刺激)が加わると、反動として副交感神経がより活発しやすくなります。本来は副交感神経刺激が活発化することで冠動脈は拡張しますが、冠攣縮性狭心症の方は血管の内側に微細な傷を負っていることが知られており、副交感神経の刺激で先程とは逆に血管が収縮しやすくなっています。故に、副交感神経が活発化しやすい上記の状況で発作が出やすいと言われています。
「ストレスだから大丈夫」と思わないでください
胸の症状があると、
「仕事が忙しいから」
「精神的なものだろう」
と考える方も少なくありません。
実際にストレスによる体調変化はありますが、
心臓の病気が背景に存在する場合もあります。
特に、
● 胸痛を繰り返す
● 夜中に目が覚めるほど苦しい
● 症状が最近増えている
といった場合は、一度循環器内科で相談することをおすすめします。
検査で異常が出ないこともあります
冠攣縮性狭心症は発作が出ていない時には心電図変化が乏しいです。
そのため、「以前検査で異常なしと言われた」
という方でも、症状の内容によっては追加の評価(24時間心電図検査や負荷試験、心臓カテーテル検査等)が必要になる場合があります。
問診では、
● 症状が起きる時間帯
● 発作の頻度
● ストレスや疲労との関係
● 喫煙・飲酒歴
などが重要な情報になります。
治療と予防
冠攣縮性狭心症は治療可能な病気です。
薬によって血管の異常な収縮を抑えることで、多くの方で症状改善が期待できます。
また、
● 禁煙
● 良質な睡眠
● ストレス管理
● 過度な飲酒を避ける
ことも再発予防につながります。
胸の違和感を放置せずご相談ください
胸の違和感や締め付けられるような症状が続く場合、
必ずしもストレスだけが原因とは限りません。
冠攣縮性狭心症のように、ストレスをきっかけとして実際の心臓の病気が現れることがあります。
症状があるにもかかわらず原因が分からない場合や、繰り返し胸痛が起こる場合は、一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 冠攣縮性狭心症は心筋梗塞とは違うのでしょうか?
心筋梗塞とはその多くは冠動脈内の血流が遮断された結果、心筋細胞が壊死することを指します。多くは動脈硬化と関連していますが、先述した冠攣縮性狭心症でも長時間続くことで血流が遮断され、心筋梗塞に至ることがあります。
Q. ストレスが原因なら心療内科を受診した方がよいですか?
ストレスが誘因になることはありますが、実際の心臓病である可能性があります。まずは循環器内科での評価をおすすめします。もちろん病的なストレスの場合は心療内科や精神科での併診が望ましいケースもあります。
Q. 若くてもなりますか?
比較的若い方でも発症することがあります。特に喫煙習慣がある方は注意が必要です。
受診のご案内
当院では、胸痛、動悸、息切れなどの循環器症状の診療を行っています。
● 胸が締め付けられる
● 夜中や明け方に胸が苦しくなる
● ストレスがかかると胸に違和感が出る
● 健診では異常がないが症状が続いている
このような症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

