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ストレスによって起こる心臓の病気②  強いストレスの後の胸痛に注意「たこつぼ型心筋症」とは?

はじめに

こんにちは。あかね台内科循環器クリニック院長の朝比奈です。

前回はストレスなどをきっかけに冠動脈が一時的に収縮する「冠攣縮性狭心症」についてお話ししました。冠攣縮性狭心症では、ストレスも発作に関連する要因の一つとされています。

今回も「ストレスと心臓」の話です。

強い精神的・身体的ストレスを受けた後に、

「突然、胸が痛くなった」

「息が苦しくなった」

という症状が現れることがあります。

こうした症状を「精神的なもの」「ストレスだから」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際に心臓に異常が起こっている可能性もあります。

その一つが、**「たこつぼ型心筋症(たこつぼ症候群)」**です。

たこつぼ型心筋症とは?

たこつぼ型心筋症は、強いストレスを受けた後に一時的に心臓の筋肉の動きが低下する病気です。ニュースなどのメディアでは震災の直後に発症することで話題になったこともあります。たこつぼ型心筋症とはその名の通り、心臓の収縮する形が、タコを捕まえるときに使われる「たこつぼ」に似て見えることからこの名前が付けられています(心臓の上部が過収縮、心臓の下部が無収縮となるため、このような形になります)。たこつぼ型心筋症は、冠動脈が詰まる心筋梗塞とは異なる病態ですが、症状や心電図変化が心筋梗塞と似ているため両者の鑑別が重要になります。一般的には経過とともに心臓の形は元に戻ることが多く、予後が良好な心疾患ですが、まれに重篤な不整脈発作や心破裂のリスクもあることから油断はできない疾患となります。

ストレスが心臓に影響することがあります

たこつぼ型心筋症は、強い精神的・身体的ストレスをきっかけに発症することで知られています。

私たちは日常生活の中でさまざまなストレスを受けています。

ストレスというと「気持ちの問題」というイメージを持つ方もいらっしゃいますが、身体はストレスに対してさまざまな反応を起こします。

心臓も例外ではありません。

そのため、

「ストレスが原因だから、心臓には問題がない」

とは限らないのです。

どのような症状が出るの?

たこつぼ型心筋症では、心筋梗塞と似た症状が現れることがあります。

代表的なのは、

  • 突然の胸の痛み
  • 胸の圧迫感、違和感
  • 息苦しさ
  • 動悸

などです。

特に、

「大きなストレスがあった後に、突然胸が苦しくなった」

という場合には注意が必要です。

症状だけでたこつぼ型心筋症なのか心筋梗塞なのかを判断することは困難です。

「ストレスのせい」と自己判断しないことが大切

ここが今回、最もお伝えしたいポイントです。

仕事や家庭などでストレスが続いているときに胸が苦しくなると、

「疲れているから」

「ストレスがたまっているから」

「少し休めば治るだろう」

と考えてしまうことがあります。

しかし、前回ご紹介した冠攣縮性狭心症も、今回のたこつぼ型心筋症も、ストレスとの関連が知られている心臓の病気です。冠攣縮性狭心症については、喫煙・飲酒・脂質異常症・ストレスなどが原因に関連するとされています。

胸の症状を「精神的なもの」と決めつけないことが大切です。

たこつぼ型心筋症と心筋梗塞はどう違う?

どちらも、

  • 胸痛
  • 息苦しさ
  • 心電図の変化

などをきっかけに疑われることがあります。

先述したように、心筋梗塞との鑑別が必要となるため、最終的には心臓カテーテル検査で確定診断をつけていきます。

「以前の検査で異常がなかったから大丈夫」と自己判断せず、今起きている症状を評価することが大切です。

強い胸痛や息苦しさは我慢しないでください

突然の強い胸痛や強い息苦しさがある場合、たこつぼ型心筋症だけでなく、心筋梗塞など緊急性の高い心疾患の可能性も考える必要があります。

特に、

  • 突然強い胸痛が出た
  • 胸が強く締め付けられる
  • 息が苦しい
  • 冷や汗が出る
  • 意識が遠くなる、失神する

といった症状がある場合は、通常の外来受診を待たず、救急要請を含めた速やかな対応を検討してください。

「ストレスと心臓」は意外と深い関係があります

10月・11月と2回にわたって、ストレスと心臓病について取り上げました。

10月は冠攣縮性狭心症。

11月はたこつぼ型心筋症です。

冠攣縮性狭心症では、冠動脈が一時的に収縮して心筋への血流が悪くなります。夜間・早朝などの安静時に発作を起こすことが特徴で、非発作時には冠動脈の狭窄が確認できない場合があります。

病気の仕組みはそれぞれ異なりますが、

胸の痛みや違和感を「ストレスだから」と自己判断しない

ことが大切です。

身体からのサインを見逃さないようにしましょう。

よくある質問(FAQ)

  1. ストレスで本当に心臓の病気になるのでしょうか?

ストレスと関連する心臓病はあります。前回取り上げた冠攣縮性狭心症でも、ストレスは発症に関連する要因の一つとされています。

胸痛や息苦しさなどがある場合は「ストレスだけ」と自己判断せず、医療機関に相談してください。

  1. たこつぼ型心筋症と心筋梗塞は自分で見分けられますか?

胸痛や息苦しさなど似た症状があるため、ご自身で判断することはおすすめできません。特に突然の強い胸痛や息苦しさがある場合は、緊急性の高い心疾患も考えて速やかに医療機関へ相談してください。

  1. 胸に違和感がありますが、痛いというほどではありません。相談できますか?

はい。胸の「圧迫感」「締め付けられる感じ」「重苦しい感じ」なども循環器疾患でみられることがあります。繰り返す場合や、動悸・息切れを伴う場合にはご相談ください。

受診のご案内

当院では、胸痛、動悸、息切れなどの循環器症状について診療を行っています。

  • ストレスが続いてから胸に違和感がある
  • 胸が締め付けられることがある
  • 動悸や息切れを繰り返す
  • 症状があるのに原因が分からない

このような症状がある場合はご相談ください。

一方、突然の強い胸痛、強い呼吸困難、冷や汗、失神などがある場合は、通常の外来受診ではなく救急要請を含めた対応を検討してください。

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